建設業の採用サイトで「数字で見る会社情報」が重要な理由とは?求職者に伝わるポイント
求人広告を出しても応募が集まらない、採用ページを設けたものの何を載せるべきか決めきれない。
建設会社の経営者や採用担当の方から、こうした声を聞く機会は少なくありません。
採用サイトでよく見かける「数字で見る会社情報」は、社員構成や休日の実績といった働く環境を一目で伝えるコンテンツです。
求職者が知りたい情報を先に開示しておくと、応募前の迷いをやわらげる効果が期待できます。
建設業では若手人材の獲得競争が続いており、募集条件を並べただけのページでは印象に残りにくいのが実情です。
この記事では、採用サイトに数字を載せる意味と、建設業で効果を発揮する見せ方を整理して解説します。
自社の採用ページを見直す視点が得られる内容ですので、ぜひ参考にご覧ください。
目次
「数字で見る会社情報」とは会社の特徴を数値で示すページ

数字で見る会社情報とは、社員の平均年齢や年間休日、資格保有者数などを一覧にまとめ、自社の状況を数値で伝えるページを指します。
建物の性能を数値で示すのと似た発想で、感覚ではなく判断材料そのものを求職者へ渡す役割を担っています。
求人票や会社概要ページとの違い
求人票、会社概要、数字で見る会社情報は、それぞれ担う役割が異なります。三者の違いを比較してみましょう。
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ページの種類 |
主に伝える内容 |
求職者が受け取るもの |
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求人票 |
職種、給与、勤務地、応募資格などの募集条件 |
応募できるかどうかの判断材料 |
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会社概要 |
事業内容、所在地、建設業許可、沿革 |
会社としての信頼性や規模感 |
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数字で見る会社情報 |
社員構成、休日の実績、資格の保有状況 |
入社後に働く姿のイメージ |
求人票と会社概要だけでは、そこで働く人と働き方という情報が抜け落ちてしまいます。数字で見る会社情報を加えれば条件面と実情の両方を提示でき、求職者は比較検討を進めやすくなるのです。三者を行き来できる導線の用意をおすすめします。
国の制度でも情報の公開が求められている
数値の開示は企業の任意にとどまらず、法律で一定の対応が定められている領域でもあります。
若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)では、新卒者などの求人を出す企業に対し、応募者から求めがあった場合の職場情報の提供を義務づけています。
厚生労働省が示す情報提供項目は、次の3つの区分に整理されています。
- 募集・採用に関する状況:直近3事業年度の新卒採用者数・離職者数、その男女別人数、平均勤続年数
- 職業能力の開発・向上に関する取組の実施状況:研修の有無および内容、自己啓発支援、メンター制度の有無、社内検定等の制度の有無 など
- 企業における職場定着に関する取組の実施状況:前事業年度の月平均所定外労働時間の実績、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得者数、女性の役員・管理職比率
いずれの区分からも1つ以上を提供する必要があり、数値で示せる項目が多く含まれている点が特徴。採用サイトにあらかじめ掲載しておけば、問い合わせを受けてから資料を用意する手間も省けます。
制度への対応と求職者への働きかけを同時に進められることが、この取り組みの利点といえます。
建設業の採用サイトで数字の掲載が重要な3つの理由

建設業では、「数字で見る会社情報」を掲載する効果が特に高いと考えられます。
その理由は、建設業を取り巻く採用環境と、求職者が知りたい情報が深く関係しているためです。ここからは、2つの理由を見ていきましょう。
若い人材の獲得競争が激しくなっているため
建設業の年齢構成は、ほかの産業と比べて偏りの大きい状態が続いています。国土交通省が総務省「労働力調査」をもとに作成した資料によると、建設業就業者のうち55歳以上が36.6%を占める一方、29歳以下は11.9%にとどまり、高齢化の進行が課題として挙げられています。
限られた若手を同業他社や他業界と奪い合う環境では、募集条件を並べただけのページは埋もれがち。求職者は短時間で複数社を見比べるため、違いがすぐ判別できる情報が求められています。
数値であれば読み飛ばされにくく、他社との差も伝わります。文章を読み込まなくても特徴が届く点が、数字を載せる強みといえます。
言葉だけでは働く環境が伝わりにくいため
「アットホームな職場」「風通しの良い社風」といった表現は、求職者にとって具体的に想像しにくい言葉です。同じ文言を掲げる会社が並ぶため、印象に残らないまま比較の対象から外れてしまう可能性もあるからです。
本サイトの他の記事でも、写真や動画で職場の雰囲気を可視化した企業ほど応募につながりやすい傾向が指摘されています。数値も同じく、抽象的な印象を具体的な情報へ置き換える手段のひとつ。
写真で現場の空気を伝え、数値で働き方を補えば、求職者は入社後の生活を思い描きやすくなります。両方を組み合わせた構成を検討してみてください。
建設業の採用サイトに載せたい数字の具体例

掲載する数値は、4つの分類に分けて整理すると、必要な項目の抜け漏れを防ぎやすくなります。
自社で掲載する項目を検討する際の参考として、分類ごとの代表例を一覧にまとめました。
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分類 |
代表的な項目 |
求職者に伝わる内容 |
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働く人 |
平均年齢、平均勤続年数、社員数、年代別の人数 |
社内の顔ぶれと定着の状況 |
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休日・時間 |
年間休日数、有給休暇の平均取得日数、月平均の残業時間 |
日々の働き方 |
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学び・資格 |
資格保有者数、資格取得支援の利用者数、未経験入社の割合 |
育成体制の充実度 |
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仕事・実績 |
年間の施工件数、創業年数、対応エリア数 |
携わる仕事の規模と幅 |
自社が強みを持つ分類から着手すると、成果が見えやすくなります。すべてをそろえる必要はなく、集計できるものから順に公開する進め方で問題ありません。
休日や働く時間に関する数字の見せ方
働き方に直結する数値は、求職者の関心がとりわけ高い領域です。年間休日数、有給休暇の平均取得日数、月平均の残業時間、週休の形などを掲載する会社が増えています。
自社の数値を用意する際は、全国の水準を目安として押さえておくと位置づけを把握しやすくなります。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、令和6年の1企業平均の年間休日総数は112.4日、年次有給休暇の労働者1人平均取得率は66.9%でした。
平均との比較を前面に押し出す必要はありません。自社の実績をそのまま示すだけでも、求職者にとっては十分な判断材料になります。
改善に取り組んでいる途中であれば、その内容を添えて伝える方法も考えられます。
学びや資格取得の支援に関する数字
未経験者からの応募を増やしたい会社ほど、育成に関する数値が力を発揮します。
資格保有者数、資格取得を支援した人数、未経験で入社した社員の割合、研修の日数などが挙げられるでしょう。
建設業では入社時点で経験を持たない方も多く、未経験からの入社割合を示す数値は応募の後押しになりやすい要素となります。
仕事の内容や会社の実績に関する数字
どのような現場にたずさわるのかという情報は、求職者が仕事内容を判断する材料になります。
年間の施工件数、創業からの年数、対応エリアの数、主な取引先数などを掲載すると、業務の規模と幅が伝わりやすくなるのです。
本サイトの記事では、施工事例が建設業のホームページで最も確認されるコンテンツとして挙げています。
実績の数値と施工事例ページを相互にリンクさせておけば、求職者は数字の裏側にある現場まで具体的に確認できます。
採用ページと施工事例を行き来できる導線の整備が重要な要素です。
求職者に伝わる「数字で見る会社情報」の見せ方

数値は並べただけでは意味が伝わりません。見せ方を誤ると、かえって不信感を招く場合もあります。
求職者に届く形へ整えるうえで押さえておきたい3点を、順に解説していきます。
数字の意味がわかる一言を添える
数値だけを提示しても、読み手は解釈に迷ってしまいます。「平均年齢38歳」とだけ書かれていても、若手が中心なのかベテランが支えているのか判断できません。
「20代から60代まで在籍」といった補足を一言添えるだけで、意味は格段に伝わりやすくなります。あわせて、いつ時点の数値なのか、正社員のみか全社員を含むのかという集計の範囲も明記しておきましょう。
厚生労働省の資料には、月平均所定外労働時間や有給休暇の平均取得日数について算出方法が示されています。社内で基準をそろえておけば、翌年以降の更新も進めやすくなります。
都合のよい数字だけを並べないようにする
見栄えのする項目だけを選んで掲載すると、入社後の認識のずれが生まれやすくなります。採用の段階で期待値を上げすぎた結果、早期離職を招く事態は避けたいところ。
厚生労働省の調査では、就職後3年以内の離職率が事業所の規模によって大きく異なる結果が示されています。
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事業所の規模 |
新規高卒就職者 |
新規大卒就職者 |
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5人未満 |
63.2% |
57.5% |
|
5〜29人 |
54.6% |
52.0% |
|
30〜99人 |
45.2% |
41.9% |
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1,000人以上 |
26.3% |
27.0% |
※厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」より作成。産業を問わない全体の数値です。
規模の小さい会社ほど離職率が高いという結果は、中小の建設会社にとって見過ごせない数値です。入口の段階で状況を正しく伝えることが、結果として定着につながります。数値がそろわない項目は無理に載せず、公開できるものから始めれば十分です。
公開後も定期的に数字を更新する
掲載した数値は、年度が変われば現状と合わなくなります。社員数も休日数も動くため、古い情報のままでは「今も同じ状況なのか」と疑問を持たれかねません。
更新の時期をあらかじめ決めておく、集計時点を併記しておくといった対応で、情報の鮮度は保てます。ホームページの保守や運用の作業に組み込み、年に一度は採用ページ全体とあわせて点検する運用がおすすめ。
まとめ|数字で見る会社情報は建設業の採用に有効

今回は、採用サイトの「数字で見る会社情報」が重要とされる理由と、求職者に伝わる見せ方を解説しました。要点は次のとおりです。
- 数字で見る会社情報は、働く人と働き方を数値で示すページ
- 若手の獲得競争、抽象的な表現の限界、応募前の不安という3つの背景から、建設業では効果が表れやすい
- 掲載項目は「働く人」「休日・時間」「学び・資格」「仕事・実績」の4分類で整理できる
- 意味が伝わる補足を添え、実情に沿った数値を示し、定期的に更新することが重要
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監修者プロフィール
齋藤 直樹
株式会社イエスリフォーム 代表取締役社長
1976年、千葉県生まれ。
2012年に株式会社イエスリフォームを設立し、ITと建築をつなぐ事業をスタート。翌年からは内装デザインやリフォームも手がけています。
現在は、建築アプリの開発や地域サイトの運営、ビル再生プロジェクトなど、地域に根ざした活動を展開中。
現場目線で「わかりやすく、親身に」情報を届けることを大切にしています。